行ったり来たり

とりとめのない毎日の思いを好きな時に綴ります。

読んだのかな〜?

 皆さんは、どこで時間潰しをしますか。私は子供の頃から、何もするあてがない時に、本屋さん行って、ぶらぶら本を眺めるのが好きでした(もちろん本を読むのも好きでしたが)。子供の頃は、近所にも本屋さんが数軒あって、学校から戻ってきて夕飯まで時間がある時は、よく本屋へ通って本を眺めては、書棚に並ぶ本を手に取っては、次に何を読もうかワクワクしたものです。ところが最近は、個人経営の町の本屋さんは大型書店におされてなくなり(というか、若者の本離れのせいかな)、家の近所では、ふらっと行けるのは、〇〇オフという古本屋さんだけになりました。先日、ちょっと時間があったので、いつものように〇〇オフに足を運んで、柳田国男の『日本の昔話』という本を購入しました(〇〇オフなので、購入というほどの値段じゃないですけどね)。特別にこの本が欲しかったというわけではなかったんですが、他に買いたい本が見つからなかったし、大学時代に日本史を専攻したという理由から民俗学にも興味があったので、まあこの本でいいかと思い、購入を決定!

  

 買ってしばらくは、机の上に置きっぱなしにしてあったのですが、やっと今日、少し読もうかなとペラペラと本をめくってみました。中には、1ページにも満たない、短い昔話がたくさん集められています。といっても、「猿かに合戦」とか「桃太郎」のようなメジャーな昔話はほぼなく、柳田が全国各地から集めた地方に伝承しているそれほど有名ではない昔話です。読むとはなしに、とりあえず昔話の題名だけを目で追いページをめくっていくと、最後のページにおばあさんと思しき人から孫へのメッセージが書かれていたのを発見しました。それは、ボールペンで書かれた走り書きのように、ちょっと右斜めに傾いている4行ほどのメッセージです。「〇〇ちゃんへ、柳田は日本の有名な民俗学者だし、お父さんも中二の頃、遠野物語を読んでいたから、今は、難しくても読んでみるといいよ」と。孫の成長を思って購入した本。おばあさんの優しさが伝わってきますね。

 けど、このお孫さん、この本を読んだのでしょうか。どうも、残念ながら、その形跡は見当たりません。古本にしては綺麗だし、本の中ほどには出版社からの宣伝(広告)が挟まれたまま。しおりとして使う紐も綺麗に折り畳まれたまま。おばあさんのメッセージ自体も結構達筆だし、「むずかしい」が「むづかしい」と旧仮名遣い。これすら、お孫さんはわかったのかな?と思ってしまいましたが。そんなこんなで、お孫さんが読んだとは、どう見ても思えない状態。お孫さんは、読もうと思ってチャレンジはしたものの、やっぱ難しすぎて、最後まで読めなかったのか。はたまた、他の勉強やお稽古ごとで忙しかったのか。想像の域を出ませんが、たとえお孫さんがこの本を読まなかったとしても、優しいおばあさんと愛されていたお孫さんがいたという事実に、何かほっこりさせられました。もしかすると、このメッセージは、

よく積読(つんどく:本を買って満足してしまい読まずに机や本棚に積んでおく)をしてしまう私への戒め?なのかなという気もしなくもないですが。